特定商取引法に基づく表記の書き方|カウンセラー・個人事業主向け

今回は、カウンセラーが知っておきたい「特定商取引法に基づく表記」の書き方について説明していきます。

結論から言うと、ネットで申込みを受けるなら、個人事業主でも表記が必要です。

書く項目は決まっているので、順番に書いていけば、難しくありません。

開業したばかりのあなたも、こんな不安を持っていませんか。

  • うちは個人でやっているから、関係ないのでは?
  • カウンセリングも、対象になるの?
  • 住所や電話番号は、必ず載せないといけないの?

ですが、表記がないまま運営していると、行政から指導を受けるおそれがあります。

また、お客様とのトラブルのときにも、表記があるかどうかで、話が大きく変わります。

そこで今回は、次の3点について説明します。

  • 表記に書く項目と、項目ごとの書き方
  • 住所と電話番号を載せたくないときの考え方
  • 返品とキャンセルの条件の決め方

ただし、この記事は、一般的な内容をまとめたものです。

私は弁護士ではないため、個別の判断はできません。

最終的な判断は、消費者庁の「特定商取引法ガイド」か、専門家にご確認ください。

もくじ

  1. 特定商取引法に基づく表記が必要になる場面
  2. 表記に書く項目
  3. 項目ごとの書き方
  4. 住所と電話番号を載せたくないとき
  5. 申込みの最終確認画面にも表示が必要
  6. クーリング・オフの対象になるのか
  7. 表記を怠ったときのリスク
  8. まとめ

特定商取引法に基づく表記が必要になる場面

特定商取引法は、消費者トラブルが起きやすい取引について、事業者が守るルールを決めた法律です。

この中で、カウンセラーにいちばん関係が深いのが「通信販売」です。

なぜなら、ホームページやSNSで集客し、フォームやLINEで申込みを受ける形が、通信販売にあたるからです。

例えば、次のような場合は、通信販売にあたります。

  • ホームページで、カウンセリングのメニューを紹介している
  • 申込みフォームやメールで、予約を受けている
  • LINEで申込みを受け、料金を請求している

また、通信販売は、商品の販売だけでなく、カウンセリングのようなサービスの提供も対象です。

法律では、サービスのことを「役務」と呼びます。

この義務は、法人だけのものではありません。

つまり、個人で開業していても、売上が少なくても、同じように表記が必要です。

表記に書く項目

書く項目は、法律(特定商取引法 第11条)で決められています。

全部で15項目ありますが、カウンセラーに関係するのは、次の項目です。

  • 事業者名(個人事業主は、本名)
  • 住所
  • 電話番号
  • サービスの料金
  • 料金のほかに、お客様が負担する費用(振込手数料など)
  • 支払方法と、支払の時期
  • サービスを提供する時期
  • 申込みの撤回や解除に関すること(キャンセルの条件)
  • 申込みの期限(期間限定の講座やセミナーの場合)

また、法人の場合は、代表者名か、通信販売の責任者の名前も書きます。

また、メールで広告を送る場合は、メールアドレスも必要です。

特定商取引法に基づく表記に書く項目の一覧図

これらは、広告に表示することが義務づけられています。

つまり、お客様が見るページに載せる必要があります。

メニューのページや、申込みフォームの近くに、リンクを貼っておきましょう。

また、リンクの名前は「特定商取引法に基づく表記」などにすると、お客様が迷いません。

項目ごとの書き方

ここからは、項目ごとの書き方を、リフレクの表記ページを例に説明します。

リフレクの表記ページは、次のページです。

事業者名と代表者名

個人事業主は、事業者名に本名を書きます。

また、屋号を使っている場合も、本名は省略しないでください。

なお、法人の場合は、代表者名か、通信販売の責任者の名前も書きます。

例えば、リフレクの表記ページでは、事業者名に屋号を書き、代表者名に本名を書いています。

つまり、この形にすれば、お客様が本名を確認できます。

事業概要と申込方法

どんなサービスを、どうやって申し込むのかを書きます。

リフレクの場合は、次のように書いています。

  • 事業概要:面談による支援・相談業務、セミナー
  • お申込方法:カウンセリング予約フォーム・公式LINEから

料金と支払方法

料金は、申込みを受けるサービスのページに書きます。

また、表記には、料金のほかに、お客様が負担する費用も、すべて書きます。

例えば、振込手数料です。

例えば、リフレクの表記ページでは、次のように書いています。

  • お支払い方法:銀行振込(お申し込みから1週間以内)
  • 商品代金以外の必要料金:振込手数料はご負担いただきます

サービスの提供時期

いつ、サービスを受けられるのかを書きます。

例えば、リフレクの場合は「面談・セミナー実施の当日」と書いています。

返品・キャンセル・中途解約

カウンセリングは、提供したあとに、返してもらうことができません。

だからこそ、キャンセルや解約の条件を、事前に決めて、書いておく必要があります。

なお、返品に関する事項は、省略が認められていません。

つまり、後述する「請求があれば出す」という方法は、使えません。

ポイントは、サービスごとに、条件を分けて書くことです。

リフレクの場合は、面談とセミナーで、次のように分けています。

  • 面談:支払い前のキャンセルは無料。支払い後は、返金手数料を差し引いて返金する
  • セミナー:開催の前日と当日のキャンセルは、キャンセル料が100%かかる
  • 中途解約:面談の中途解約による返金は、原則としてお受けしない

条件を決めるときの注意点

ただし、書いてあれば何でも通る、というわけではありません。

なお、高額なコースを売る場合は、消費者契約法という別の法律も関わります。

「返金はお受けできません」と書いてあっても、返金が認められる場合があると、解説している弁護士のサイトもあります。

そのため、条件は、お客様に不利になりすぎないように決めてください。

また、申込みの前に、必ず説明するようにしましょう。

個人講座契約書の例

ちなみに、リフレクの個人講座契約書では、中途解約について、次のように決めています。

  • お客様の都合による解約は、原則として認めない
  • 特例として認める場合の、返金額の計算式を、契約書に書いておく
  • 計算式は、契約金額から、実施済みの面談費用、経過月数の分、教材費、事務手数料を引く
  • 無断キャンセルは、1回目は注意、2回目は書面で警告、3回目は契約終了とする

こうして、計算の根拠を契約の前に示しておくと、トラブルのときに、話が早くなります。

住所と電話番号を載せたくないとき

特に、自宅で開業している場合、住所と電話番号の公開は、大きな不安だと思います。

結論から言うと、原則として、住所と電話番号は省略できません。

ただし、個人事業主は、次の条件を満たす場合に、省略が認められています。

  • お客様から請求があれば、遅れずに提供すると、広告に表示している
  • 請求があったとき、実際に遅れずに提供できる

つまり「載せない」のではなく「請求があれば出す」と決めて、その準備をしておく方法です。

住所と電話番号を省略できる条件の流れ図

ここでいう「遅れずに」とは、お客様が申込みを決める前に、十分な時間の余裕をもって提供することです。

なお、ネットで申込みを受ける場合は、メールでの提供でも構わないとされています。

また、請求があったときに出す住所は、現に活動している場所である必要があります。

さらに、電話番号も、確実に連絡が取れる番号にしてください。

バーチャルオフィスと私書箱の扱い

バーチャルオフィスの住所を使いたい人もいると思います。

消費者庁のQ&Aには、バーチャルオフィスの住所を表示できる条件が、書かれています。

例えば、連絡先として使うことを、運営会社と合意していることです。

また、運営会社が、あなたと確実に連絡を取れることも必要です。

なお、私書箱は、営業の拠点ではないため、住所として認められません。

そのため、条件に合うか不安な場合は、Q&Aの原文か、専門家に確認してください。

申込みの最終確認画面にも表示が必要

ネットで申込みを受ける場合は、表記ページだけでは足りません。

2022年6月から、申込みの最後に表示する確認画面にも、主な項目の表示が義務になりました。

表示する主な項目は、次のとおりです。

  • サービスの分量(面談の回数や時間など)
  • 料金
  • 支払の時期と方法
  • サービスを提供する時期
  • 申込みの撤回や解除に関すること
  • 申込みの期限(期限がある場合)

そのため、予約フォームや予約システムを使っている場合は、確認画面にこれらが表示されるかを見直してください。

クーリング・オフの対象になるのか

クーリング・オフとは、契約したあとでも、一定の期間内なら、理由を問わず解約できる制度です。

通信販売には、クーリング・オフの制度はありません。

その代わりに、返品やキャンセルの条件を、広告に表示することが求められています。

ただし、法律にないクーリング・オフを、契約書で自主的に定めることはできます。

リフレクの個人講座契約書でも、自主的なクーリング・オフを定めています。

具体的には、契約日を含む8日以内の解約は、事務手数料だけを引いて返金します。

なぜなら、お客様が安心して申し込める材料になるからです。

特定継続的役務提供との違い

一方で、特定商取引法には「特定継続的役務提供」という類型があります。

これは、長く続く高額なサービスについて、特別なルールを決めたものです。

こちらはクーリング・オフの対象です。

なお、契約の書面を受け取った日から、8日以内なら、解約できます。

対象になるサービスは、次の7つだけです。

  • エステティック
  • 美容医療
  • 語学教室
  • 家庭教師
  • 学習塾
  • パソコン教室
  • 結婚相手紹介サービス

カウンセリング、占い、コーチングは、この7つに含まれていません。

通信販売と特定継続的役務提供のクーリング・オフの比較図

そのため、カウンセラーの契約は、原則として、特定継続的役務提供の対象外です。

とは言っても、これは「何をしてもよい」という意味ではありません。

なぜなら、お客様が不安を感じる契約は、トラブルになりやすいからです。

だからこそ、サービスの内容と料金を、丁寧に説明することが、いちばんの対策になります。

表記を怠ったときのリスク

表記をしていない場合や、内容に誤りがある場合は、行政処分や罰則の対象になることがあります。

さらに、行政処分を受けると、事業者名や処分の内容が公表されることもあります。

また、処分を受けなくても、信頼を失うことは、大きな損失です。

カウンセラーは、信頼で成り立つ仕事です。

つまり、表記ページは、お客様に、安心して申し込んでいただくための土台だと考えてください。

この記事を書いた人

経験と専門性

  • 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
  • ASD・ADHDの混合型診断済み
  • モラハラ加害者としての更生を実現
  • 週刊文春オンラインで連載で加害者心理と更生過程を完全公開

臨床経験(2010年〜)

カウンセラーとして幅広い支援経験

  • 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
  • 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
  • うつ病の方の復職支援
  • 元受刑者・薬物依存者への更生支援
  • ひとり親・DV被害者相談
  • 企業内パワハラ相談
  • 自助グループ・セミナー開催

メディア掲載実績

新聞・雑誌掲載

  • 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
  • 産経新聞(2021年9月)
  • 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
  • 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
  • ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)

テレビ・ラジオ出演

まとめ

今回は、特定商取引法に基づく表記の書き方について説明しました。

ネットで申込みを受けるなら、個人事業主でも、表記が必要です。

事業者名、料金、支払方法、提供時期、返品とキャンセルの条件を、順番に書いていきます。

一方で、住所と電話番号は、条件を満たせば省略できます。

ただし、請求があれば、遅れずに出せる準備が必要です。

また、カウンセリングは、特定継続的役務提供の対象外ですが、契約の説明は、丁寧に行ってください。

もし、特定商取引法に基づく表記について不安なことがあれば、些細なことでも構いませんので、お気軽にご連絡くださいね。

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