発達社長の歯を食いしばる日記|作業所で丁合作業に惨敗した話
今回も「発達社長の歯を食いしばる日記」のシリーズをお届けします。
結論から言うと、私は先日、知人が働くA型作業所にお邪魔し、丁合(ちょうあい)という作業に、見事に惨敗してきました。
長年、公的機関で事務仕事をしてきた私にとって、紙を仕分けるだけの単純作業など、楽勝だと思っていました。
ところが、いざやってみると、びっくりするくらいできなかったのです。
今回は、その情けない体験を、包み隠さず書いていきます。
なぜ私が作業所に行ったのか、という話も含めて、私の人となりが伝われば幸いです。
なお、ここから先の本文は、あえて言い切り型で書いていきます。
その方が、飾らない素の自分が伝わると思うからです。
少し文体が変わって戸惑うかもしれませんが、ご理解いただければ幸いです。
もくじ
作業所とは何か
まず、作業所という言葉について軽く整理しておく。
障害のある人が働く・訓練する場には、大きく分けて「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」の三つがある。
それぞれ何が違うのか、順番に説明していく。
就労継続支援A型
A型は、事業所と雇用契約を結んで働く。
つまり労働者扱いであり、賃金は最低賃金以上が保証される。
一般就労は難しいが、支援があれば雇用契約で働ける人が対象だ。
勤務時間や日数も決まりやすく、比較的、一般就労に近い働き方になる。
就労継続支援B型
B型は、雇用契約を結ばない。
利用者として作業訓練を行う形で、もらえるのは「工賃」であり、最低賃金は適用されない。
その代わり、自分のペースや体調を優先して働ける点が特徴だ。
年齢制限もなく、雇用契約での就労が難しい人が対象になる。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指すための訓練の場だ。
賃金は基本的に発生せず、原則2年以内という利用期限がある。
スキルの習得や求職活動の支援が中心で、A型・B型のように「働く場」というより「就職の準備をする場」と考えると分かりやすい。
なお、作業内容は事業所によって様々だが、箱詰めやシール貼り、清掃、データ入力、印刷・製本といった軽作業が多い。
今回私が体験した丁合作業も、その一つだ。
障害者手帳は必要なのか
これらの利用に、障害者手帳は必ずしも必要ではない。
精神疾患や発達障害などで医師の診断書や意見書があれば、自治体から受給者証が発行され、手帳がなくても利用できる場合が多い。
障害年金はもらえるのか
作業所を利用しながら、障害年金を受け取ることも可能だ。
ただし、収入が一定額を超えると、減額や停止の対象になる場合もある。
この線引きは制度上やや複雑なので、詳しくは年金事務所などに確認してほしい。
ちなみに私自身は、3年前にメニエール病と適応障害で倒れ、同時に発達障害の診断も受けた。
障害者手帳も持っている。
だから今回は、利用者という立場で作業を体験させてもらった。
なぜ作業所に行ったのか
そもそも、なぜ私が作業所に興味を持ったのか。
実は私は、以前に区役所の生活保護課で就労支援員をしていた。
生活保護の就労支援には、受給者に稼働能力があるなら、それを活かしてもらう義務がある。
そのため、精神疾患や発達障害のある方を、雇用契約を結べるA型事業所へ就労につなげた経験が、私にはある。
ところが、だ。
私自身は面談業務がメインの内勤で、実際に作業所を見学したことも、体験したこともなかった。
人を送り出す側だったのに、その現場を知らなかったのだ。
前職の同僚には社会福祉士や精神保健福祉士が多く、作業所や就労移行支援の話は、よく耳にしていた。
だからこそ、一度この目で、いや、自分の手で確かめてみたかった。
そんな経緯で、今回、知人のA型作業所にお邪魔することになった。
タイピングは勝てた
最初に行ったのは、タイピングテストだった。
見本に書かれた文字を、時間内にひたすら打ち込んでいく作業だ。
ちなみに、ワープロ検定1級の合格ラインは、10分で800文字程度らしい。
私は900文字打てた。
これは、他の利用者よりも速かった。
長年、事務職を続けてきた甲斐はあったらしい。
正直、ここで少し調子に乗った。
「なんだ、余裕じゃないか」と。
この時の私は、まだ知らなかった。
このあと、自分の特性に完膚なきまでに打ちのめされることを。
データ入力も、まあできた
次に行ったのは、データ入力作業だ。
ある施設の来場者数を、月別に、決められたフォーマットへ入力していく。
エクセルのシートに項目が縦に30個ほど並んでいて、その該当部分に数字を入れていく作業だ。
これも、区役所で毎月末にやっていた作業と近かった。
だから、何とか対応できた。
ただ、さすがにブランクがあったのだろう。
見直しをすると、入力ミスがいくつか見つかった。
とはいえ、まだ「できない作業」ではない。
この時点までは、私はまだ余裕の表情だったと思う。
丁合作業で完全に惨敗した
問題は、最後の丁合作業だった。
丁合とは、複数の印刷物を順番通りに並べ、指定された枚数やセットを作る作業のことだ。
たとえば、Aの広告を10枚×50組、Bの広告を40枚×15組作る、といった具合だ。
単純に聞こえるだろう。
私もそう思っていた。
報告書も、会議の配布資料も、機関の入口に置くチラシの仕分けも、嫌というほどやってきた。
何の問題もなくこなせると思っていた。
ところが、現実は甘くなかった。
まず、指導員から言われたことに、私は目から鱗が落ちた。
- 「机の上を、何もない状態にしてください」
- 「作業の導線を、先に作ってください」
元の広告をどこに置き、仕分けたものをどこに置いていくか。
それをライン作業のように、事前に決めておく必要があるというのだ。
私は右利きなので、元の広告を一番左に置き、仕分けたものをその右へ。
10枚×10組を1セットにして、縦横交互に5セット作るようにした。
これで、何とか形にはなった。
だが、ここからが地獄だった。
頭の中のカウントと、紙をめくる指の動きが、まったく一致しない。
めくれていなかったり、数えが追いついていなかったりが、何度も起きる。
単純な作業なのに、枚数が多いせいで、とんでもない集中力を要するのだ。
20枚くらいまでなら、連続で数えられる。
だが30枚を超えると、もうどこまで数えたか分からなくなる。
自分のワーキングメモリ、記憶力に、まったく自信が持てなくなった。
だから、何度も1から数え直す羽目になった。
100枚を1セットにする時も、20枚ずつ交互に置くというルールを自分で作ったのに、その自作ルール自体を忘れてしまう。
今、累積で何枚なのかも、紙を見ただけでは理解できない。
不安ばかりが募る作業だった。
最終的には、計りで重さを量って枚数を確認するのだが、明らかに誤差の範囲を超えた重量オーバーが続出した。
自分の丁合能力のあまりのできなさに、正直、引いた。
いくらADHDとはいえ、これは酷い。
本当に向いていない作業だと、改めて思い知った。
なぜこんなに苦手なのか
その理由は、私は発達検査で、空間認識能力がかなり低いと出ている。
空間認識能力というのは、たとえばスーパーの袋詰めで、袋の大きさと商品の形を想定して、適材適所に詰めていく、あの感覚だ。
私は、これがいくらやっても苦手だ。
だからテトリスも苦手だし、家業の鉄工所でやっていた製図作業も、いつまで経っても苦手なままだった。
丁合作業も同じだ。
作業自体はそこまで複雑ではない。
だが、ADHDの手先の不器用さと、ワーキングメモリの低さという特性が、もろに直撃する。
ちなみに、他の利用者と比べても、私の作業スピードはダントツの最下位だった。
事務仕事ならそれなりに戦えるのに、丁合では完敗。
得意と苦手が、ここまではっきり出るものかと、自分でも驚いた。
この記事を書いた人
経験と専門性
- 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
- ASD・ADHDの混合型診断済み
- モラハラ加害者としての更生を実現
- 週刊文春オンラインで連載で加害者心理と更生過程を完全公開
臨床経験(2010年〜)
カウンセラーとして幅広い支援経験
- 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
- 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
- うつ病の方の復職支援
- 元受刑者・薬物依存者への更生支援
- ひとり親・DV被害者相談
- 企業内パワハラ相談
- 自助グループ・セミナー開催
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
全国11媒体でモラハラ解決の専門家として紹介
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は、知人のA型作業所で、丁合作業に惨敗した話を書きました。
タイピングやデータ入力といった、これまでの事務経験が活きる作業はそれなりにこなせたのに、丁合作業だけは、自分の発達特性をまざまざと突きつけられる結果になりました。
でも、これでいいと思っています。
得意なことと、どうしようもなく苦手なことが、はっきり分かれている。
それが、私という人間だからです。
苦手なことは、できる人に任せればいい。
その代わり、得意なことで勝負すればいい。
発達障害があっても、こうして一応、事業を続けられているのは、自分の得意と苦手を理解しているからだと思っています。
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