発達社長の歯を食いしばる日記|作業所で丁合作業に惨敗した話

今回も「発達社長の歯を食いしばる日記」のシリーズをお届けします。

結論から言うと、私は先日、知人が働くA型作業所にお邪魔し、丁合(ちょうあい)という作業に、見事に惨敗してきました。

長年、公的機関で事務仕事をしてきた私にとって、紙を仕分けるだけの単純作業など、楽勝だと思っていました。

ところが、いざやってみると、びっくりするくらいできなかったのです。

今回は、その情けない体験を、包み隠さず書いていきます。

なぜ私が作業所に行ったのか、という話も含めて、私の人となりが伝われば幸いです。

なお、ここから先の本文は、あえて言い切り型で書いていきます。

その方が、飾らない素の自分が伝わると思うからです。

少し文体が変わって戸惑うかもしれませんが、ご理解いただければ幸いです。

もくじ

  1. 作業所とは何か
  2. なぜ作業所に行ったのか
  3. タイピングは勝てた
  4. データ入力も、まあできた
  5. 丁合作業で完全に惨敗した
  6. なぜこんなに苦手なのか
  7. まとめ

作業所とは何か

まず、作業所という言葉について軽く整理しておく。

障害のある人が働く・訓練する場には、大きく分けて「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」の三つがある。

それぞれ何が違うのか、順番に説明していく。

就労継続支援A型

A型は、事業所と雇用契約を結んで働く。

つまり労働者扱いであり、賃金は最低賃金以上が保証される。

一般就労は難しいが、支援があれば雇用契約で働ける人が対象だ。

勤務時間や日数も決まりやすく、比較的、一般就労に近い働き方になる。

就労継続支援B型

B型は、雇用契約を結ばない。

利用者として作業訓練を行う形で、もらえるのは「工賃」であり、最低賃金は適用されない。

その代わり、自分のペースや体調を優先して働ける点が特徴だ。

年齢制限もなく、雇用契約での就労が難しい人が対象になる。

就労移行支援

就労移行支援は、一般企業への就職を目指すための訓練の場だ。

賃金は基本的に発生せず、原則2年以内という利用期限がある。

スキルの習得や求職活動の支援が中心で、A型・B型のように「働く場」というより「就職の準備をする場」と考えると分かりやすい。

なお、作業内容は事業所によって様々だが、箱詰めやシール貼り、清掃、データ入力、印刷・製本といった軽作業が多い。

今回私が体験した丁合作業も、その一つだ。

障害者手帳は必要なのか

これらの利用に、障害者手帳は必ずしも必要ではない。

精神疾患や発達障害などで医師の診断書や意見書があれば、自治体から受給者証が発行され、手帳がなくても利用できる場合が多い。

障害年金はもらえるのか

作業所を利用しながら、障害年金を受け取ることも可能だ。

ただし、収入が一定額を超えると、減額や停止の対象になる場合もある。

この線引きは制度上やや複雑なので、詳しくは年金事務所などに確認してほしい。

ちなみに私自身は、3年前にメニエール病と適応障害で倒れ、同時に発達障害の診断も受けた。

障害者手帳も持っている。

だから今回は、利用者という立場で作業を体験させてもらった。

なぜ作業所に行ったのか

そもそも、なぜ私が作業所に興味を持ったのか。

実は私は、以前に区役所の生活保護課で就労支援員をしていた。

生活保護の就労支援には、受給者に稼働能力があるなら、それを活かしてもらう義務がある。

そのため、精神疾患や発達障害のある方を、雇用契約を結べるA型事業所へ就労につなげた経験が、私にはある。

ところが、だ。

私自身は面談業務がメインの内勤で、実際に作業所を見学したことも、体験したこともなかった。

人を送り出す側だったのに、その現場を知らなかったのだ。

前職の同僚には社会福祉士や精神保健福祉士が多く、作業所や就労移行支援の話は、よく耳にしていた。

だからこそ、一度この目で、いや、自分の手で確かめてみたかった。

そんな経緯で、今回、知人のA型作業所にお邪魔することになった。

タイピングは勝てた

最初に行ったのは、タイピングテストだった。

見本に書かれた文字を、時間内にひたすら打ち込んでいく作業だ。

ちなみに、ワープロ検定1級の合格ラインは、10分で800文字程度らしい。

私は900文字打てた。

これは、他の利用者よりも速かった。

長年、事務職を続けてきた甲斐はあったらしい。

正直、ここで少し調子に乗った。

「なんだ、余裕じゃないか」と。

この時の私は、まだ知らなかった。

このあと、自分の特性に完膚なきまでに打ちのめされることを。

データ入力も、まあできた

次に行ったのは、データ入力作業だ。

ある施設の来場者数を、月別に、決められたフォーマットへ入力していく。

エクセルのシートに項目が縦に30個ほど並んでいて、その該当部分に数字を入れていく作業だ。

これも、区役所で毎月末にやっていた作業と近かった。

だから、何とか対応できた。

ただ、さすがにブランクがあったのだろう。

見直しをすると、入力ミスがいくつか見つかった。

とはいえ、まだ「できない作業」ではない。

この時点までは、私はまだ余裕の表情だったと思う。

丁合作業で完全に惨敗した

問題は、最後の丁合作業だった。

丁合とは、複数の印刷物を順番通りに並べ、指定された枚数やセットを作る作業のことだ。

たとえば、Aの広告を10枚×50組、Bの広告を40枚×15組作る、といった具合だ。

単純に聞こえるだろう。

私もそう思っていた。

報告書も、会議の配布資料も、機関の入口に置くチラシの仕分けも、嫌というほどやってきた。

何の問題もなくこなせると思っていた。

ところが、現実は甘くなかった。

まず、指導員から言われたことに、私は目から鱗が落ちた。

  • 「机の上を、何もない状態にしてください」
  • 「作業の導線を、先に作ってください」

元の広告をどこに置き、仕分けたものをどこに置いていくか。

それをライン作業のように、事前に決めておく必要があるというのだ。

私は右利きなので、元の広告を一番左に置き、仕分けたものをその右へ。

10枚×10組を1セットにして、縦横交互に5セット作るようにした。

これで、何とか形にはなった。

だが、ここからが地獄だった。

頭の中のカウントと、紙をめくる指の動きが、まったく一致しない。

めくれていなかったり、数えが追いついていなかったりが、何度も起きる。

単純な作業なのに、枚数が多いせいで、とんでもない集中力を要するのだ。

20枚くらいまでなら、連続で数えられる。

だが30枚を超えると、もうどこまで数えたか分からなくなる。

自分のワーキングメモリ、記憶力に、まったく自信が持てなくなった。

だから、何度も1から数え直す羽目になった。

100枚を1セットにする時も、20枚ずつ交互に置くというルールを自分で作ったのに、その自作ルール自体を忘れてしまう。

今、累積で何枚なのかも、紙を見ただけでは理解できない。

不安ばかりが募る作業だった。

最終的には、計りで重さを量って枚数を確認するのだが、明らかに誤差の範囲を超えた重量オーバーが続出した。

自分の丁合能力のあまりのできなさに、正直、引いた。

いくらADHDとはいえ、これは酷い。

本当に向いていない作業だと、改めて思い知った。

なぜこんなに苦手なのか

その理由は、私は発達検査で、空間認識能力がかなり低いと出ている。

空間認識能力というのは、たとえばスーパーの袋詰めで、袋の大きさと商品の形を想定して、適材適所に詰めていく、あの感覚だ。

私は、これがいくらやっても苦手だ。

だからテトリスも苦手だし、家業の鉄工所でやっていた製図作業も、いつまで経っても苦手なままだった。

丁合作業も同じだ。

作業自体はそこまで複雑ではない。

だが、ADHDの手先の不器用さと、ワーキングメモリの低さという特性が、もろに直撃する。

ちなみに、他の利用者と比べても、私の作業スピードはダントツの最下位だった。

事務仕事ならそれなりに戦えるのに、丁合では完敗。

得意と苦手が、ここまではっきり出るものかと、自分でも驚いた。

この記事を書いた人

経験と専門性

  • 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
  • ASD・ADHDの混合型診断済み
  • モラハラ加害者としての更生を実現
  • 週刊文春オンラインで連載で加害者心理と更生過程を完全公開

臨床経験(2010年〜)

カウンセラーとして幅広い支援経験

  • 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
  • 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
  • うつ病の方の復職支援
  • 元受刑者・薬物依存者への更生支援
  • ひとり親・DV被害者相談
  • 企業内パワハラ相談
  • 自助グループ・セミナー開催

メディア掲載実績

新聞・雑誌掲載

  • 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
  • 産経新聞(2021年9月)
  • 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
  • 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
  • ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)

テレビ・ラジオ出演

  • NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
  • KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)

全国11媒体でモラハラ解決の専門家として紹介

まとめ

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今回は、知人のA型作業所で、丁合作業に惨敗した話を書きました。

タイピングやデータ入力といった、これまでの事務経験が活きる作業はそれなりにこなせたのに、丁合作業だけは、自分の発達特性をまざまざと突きつけられる結果になりました。

でも、これでいいと思っています。

得意なことと、どうしようもなく苦手なことが、はっきり分かれている。

それが、私という人間だからです。

苦手なことは、できる人に任せればいい。

その代わり、得意なことで勝負すればいい。

発達障害があっても、こうして一応、事業を続けられているのは、自分の得意と苦手を理解しているからだと思っています。

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